旅するミツバチ

完全に非加熱で※オーガニックで、いろんな花の蜂蜜がそろっている国産はちみつは、「まじめな蜂蜜」だけです。

※原則として日本では蜂蜜に有機という表現もオーガニックという表現も使用して販売することはできません。

その理由は「まじめな蜂蜜」のビジネス形態にあります。
「まじめな蜂蜜」では提携する、日本中の有機農法※または自然農法※を行う農家を移動して、自分たちの蜂の命を守りながら、蜂蜜の生産を行っています。「旅するミツバチ」とでも言いましょうか。
※有機農法とは化学農薬を使用しない農法、自然農法とはあらゆる農薬を使用しない農法です。
ミツバチは群れでコロニーをなして住みます。コロニーとは、ミツバチたちの生命共同体社会です。一つのコロニーに夏季の活動期には6万匹以上が生息します。コロニーには、産卵繁殖能力を有する女王バチ1匹と産卵能力の無いメスの働きバチ、繁殖活動のためだけに働きバチに餌をもらって生きるオスバチや幼虫が住んでいます。

働きバチの寿命は1か月程度と短く、コロニーの中で次々と新しい働きバチに変わっていきます。

 

働きバチは生まれると、巣箱の内部の仕事を20日ほど行った後、受粉活動を1~2週間、羽がボロボロになって死に果てるまで続けるのです。それでも1匹の働きバチが生涯を通じて作り出す蜂蜜は小さじ1杯分(1回の飛行ではわずか0.04g)ととても少ないです。

 

プロの養蜂家が1匹の女王バチとたくさんの働きバチを一つの巣箱の中で育て、多くの巣箱を持って、日本全国、南から北へ、蜂蜜の元となる花の蜜を求めて移動していきます。これを「旅するミツバチ」と呼ぶことにしました。一度に最低でも40箱以上、多い場合には1000箱のミツバチの巣を持って移動するのです。

蜂蜜はミツバチとプロの養蜂家たちとのこうした協働作業によって生まれる、とても貴重なものなのです。

 

ミツバチは農薬にとても弱いので、無農薬、自然農法を広域で行っているところ(どうしても場所が限定されます)にミツバチの巣箱を持っていき、蜂蜜を採取します。ミツバチは4キロメートル程(最大8キロメートル)飛んで、花の蜜を集めてくることから、日本では厳密に農薬不使用の蜂蜜ですということは難しいのが実状です。

まじめな蜂蜜の場合、1か所あたり、4トントラックで100箱の蜂を持って行きます。
4月から10月まで同時に最大4か所を移動して行きます。
花が咲きそうだという情報をもらうと、1週間前くらいに現地に行きます。
一つの花が咲くのは2週間くらいですが、ソバの花などは2か月くらい違う花が咲き続けています。
花によって滞在期間は様々です。

「まじめな蜂蜜」では、地域ごとに4人の養蜂家に管理をお願いしています。
熊に巣箱をこわされないようにするとか、間違って農薬の空中散布がされないように監視するとか、盗まれないようにするとか、管理には手間がかかります。その場に巣箱を放置しておくことはできません。

ミツバチは人間にとっては3000年以上も前からの忠実な家畜です。アインシュタインの言葉「ミツバチが地球上から消えたら、人類はあと4年 生きられるだろうか?」 寒さも暑さも苦手なミツバチは、良い環境をつくるバロメーターと言われる。 「ミツバチがいなければ受粉が行われない。 植物がいなくなる、動物がいなく なる、人類がいなくなる」私たちにとって大切な動物です。

エジプトで有名なツタンカーメンのミイラは、プロポリスと蜂蜜をミイラの包帯に染み込ませて、天然の抗菌剤の役割を持たせ、腐敗を防ぎました。紀元前6000年頃のスペイン東部のラ・アラーニャ洞窟の壁には蜂蜜を採る人々の姿が描かれています。

ということは、ミツバチを蜂蜜を採るための家畜として飼ってきた長い歴史があり、その間にミツバチの生態も牛馬や犬猫のように変化してきました。

日本では明治になってから、家畜として飼いやすい西洋ミツバチを導入して、蜂蜜の生産が始まりました。日本ミツバチの蜂蜜も生産されていますが、より密集した状態で飼える西洋ミツバチに比べて野生に近く、活動範囲も西洋ミツバチの半径2kmに比べ、1kmと狭いです。まじめな蜂蜜が行う移動養蜂に向いているのは、西洋ミツバチです。

ミツバチを飼う方法は1カ所にミツバチを放牧して飼う放牧型(定飼養蜂)と、移動しながら飼ういわば遊牧型(移動養蜂)があります。まじめな蜂蜜は遊牧型です。有機農法や自然農法の農家の土地の花に限定して、日本中から農家を探し、了解を得て遊牧をしています。

 

蜂蜜は花蜜にミツバチの消化器内の酵素が反応してできるものですが、味や香りは、花屋さんの花の香りが季節の花で違う様に異なります。遊牧型の移動養蜂では、花蜜を1種類には限定することはできませんが、1番効率の良い、たくさんの花のあるところに集中することができます。逆に蜂蜜の多くは放牧型で、近隣に咲く花の種類によって、蜂蜜の採れる時期が限定されます。同時期に咲いている多くの種類の花の蜜によってできた蜂蜜を百花蜜といいますが、雑蜜と言われる余った蜜をかき集めたものである場合が多いのが実状です。まじめなハチミツは、春の終わりに牧場のイタリアングラスを牧草として刈り取った後に育つ、クローバーをはじめとする5-6種類の牧草になる花が一斉に咲いたときに採蜜したもので、決して、雑蜜ではありません。

秋に咲く帰化植物のセイタカアワダチソウはミツバチが秋の最後の花で、ビタミン、ミネラルが豊富で、蜜蜂の生育には欠かせない蛋白質を含む天然のサプリメントですが、蜂蜜のにおいは臭く、とても食べられるものではありません。

 

ミツバチが家畜化しておとなしくなっているとはいうものの、ちょっとしたことで興奮し、刺されてしまうことが無いわけではありません。蜂は一度指すと死んでしまいますが、毒針なので、すぐに針を抜き、毒が体内に入らないように絞り出す必要があります。ちゃんと手当できればいいのですが、人によってはアレルギーによりアナフラキシー症状を起こすことがあるので、要注意です。蜂に刺されないようにするために、蜂除けネット付きの帽子を着用します。蜂の行動を邪魔しないように動くことが大切です。

 

花の咲く時期は年によって異なるため、移動養蜂の難しさがあります。移動時期がずれると、十分な蜂蜜を採取できないことがありますし、少量混じってしまう他の花の蜂蜜によって、微妙に味が変わります。また、天候の悪い日が続くとミツバチの活動量が減るため、採れる蜂蜜が少なくなります。

 

養蜂家は巣枠、巣箱を増やすことで、蜂蜜の採取量を増やしていくだけでなく、近親交配による種の歪みが生じる事による劣化を防ぐ為にも、健康なミツバチを購入し、ミツバチの健康を維持し、巣のチェックを頻繁に行うことで、ダニやふそ病などの感染症から守り、スズメバチの巣の中への侵入を防ぐことも重要な仕事です。

 

ミツバチが好む花の蜜としては柑橘類などがあります。必ずしもたくさん咲いている花の蜜を集めるわけではありません。

また、虫媒花と風媒花があり、風媒花はミツバチによる受粉を必要としません。農家もみかんなどはミツバチの受粉活動によって実がたくさんなると、一つ一つの実が小さくなってしまうことで、摘果作業が必要となるため、ミツバチを好まない農家もあります。

 

自然農法といえども、ほったらかしではなく、果樹に栄養が行き届くようにするため、下草を少なくする作業が必要となります。あえて背が低い下草を植えることもあります。

家畜としてミツバチを飼う場合に、蜂蜜を取りやすい巣をつくることが大切になります。

養蜂家はよく見かけるミツバチの巣とは全く違う形の巣箱にしましたが、一つ一つの巣房は同じ六角形です。ミツバチが作る正六角形の巣房は、建築学上では、1番堅牢な形と言われています。

一つの巣箱に適度なスキマ(ビースペースといいます)をおいて、巣枠が10枚程度入ります。巣箱を2段から3段に重ねます(アカシアの採蜜の最盛期には7段にもなります)。これで一つの巣であり、巣の中には女王バチは1匹しかいません。それぞれの巣枠の上部には蜂蜜がたまりますが、蜂蜜を採ることで、育児のための新たな生活スペースが生まれます。蜂蜜が採れる時期には、餌となる蜂蜜が多いので、産卵、育児のスピードが速まります。

毎日のように巣枠を増やし、固まってしまった(固まったとは結晶した蜂蜜のことであり、巣房に入った蜂蜜は糖度が保存に適したためです)蜂蜜やミツバチの死骸などを削ぎ落し、ミツバチの卵を置くスペースと生活スペースを、新しい巣枠を追加することによって増やしていく養蜂家の地道な作業が必要となります。

巣枠の上部にたまった蜂蜜(巣牌といいます)は、4枚又は9枚の巣脾の蜜蓋を切り、蜂蜜が出やすくなったものを遠心分離機にかけて集めます。遠心分離機にかけても巣枠が壊れないよう、巣枠には補強の針金などが付いています。一度使った巣枠は再利用されます。

 

オスバチは働きバチ(すべてメス)より少し大きく、生活スペースを巣枠の下の方に分けています。新しい女王バチが生まれる頃、他の群れの女王バチとの交尾だけがオスバチの役割で、針もついていません。

春になると、女王バチを育てるための王台という特別な部屋が作られます。ミツバチは、女王、雄、働き蜂を問わず、生まれて3日間は、均等に、人間のお母さんの初乳と同じ、ローヤルゼリーを与えられ、4日目からは、女王蜂だけがローヤルゼリーを永久に与えられ、長寿の女王蜂は8年間も生きます(但し生産力は年と共に低下します)。

王台は10個ほどつくられ、勝ち残った一匹だけが新しい女王バチとなります。ミツバチは分蜂といって、巣の中の半数のミツバチが従来の女王バチを連れて出ていく習性があります。

女王バチはオスバチとの交尾の後、1日に2000個もの卵を産み、1個1個が人工のハニカム構造の六角形の中に卵が置かれます。1枚の巣枠が1日の産卵で生まれた最大2000匹の生活スペースとなります。

巣箱の置き場所は、朝日を浴び、昼過ぎから日陰になり、西日が当たらない場所が望まれます。夏は日差しが強くなるので、葉が茂り、木陰になるような場所がいいです。ミツバチは風を極端に嫌うので、風の強い場所はNGです。

あとは、近くに川が流れていて、水を飲みにいけるような場所がいいのです。

 

働きバチの一生は、産卵後2.5日で幼虫となり、当初はロイヤルゼリー、4日目からは花粉団子を食べて成長し、卵から21日ほどで成虫になります。おおまかにいうと、成虫になって前半は内勤の仕事、後半が外勤の仕事(蜜や花粉を集める)をします。内勤の仕事は掃除、幼虫や女王バチの世話、巣作り、受け取った花蜜を体の中で蜜に変えて巣房の中にためる仕事、巣の前での扇風や換気、門番の仕事などがあります。寿命は1か月ほどと短いのですが、冬に限っては活動量が少なく6か月ほどの寿命です。

外勤の仕事では、1日に往復4km×10飛行=40km、約3000の花の蜜を採ります。体重0.09gのミツバチが1日に集めてくる花蜜は0.4g、10日間で4gにすぎません。しかもこの後、一生を終えることとなります。

 

しかし、花蜜は水分が多くシャバシャバです。なので、内勤バチが口移しで蜜を受け、胃の中で糖をブドウ糖と果糖に分解して、巣に詰めます。それから羽で気流を生み出し、徐々に蜜の水分を飛ばし、約20%以下の水分量にしていきます。結果的に、一生涯で小さじ1杯分のぐらいにしかならないのです。

水分が多いと、酵素による発酵が進み、糖はアルコールから酢へと分解が進み、長期保存できないのです。冬の間も蜂蜜を食べて生き残ります。ミツバチは餌となる蜂蜜が巣の中に無いと、死んでしまいます。

また、ミツバチは農薬にとても弱く、健康障害を起こす可能性があるため、まじめな蜂蜜は、厚生労働省のポジティブリストの基準値を守っています。

 

移動養蜂家による蜂蜜の生態にあった飼育方法に支えられて、まじめな蜂蜜は生産されています。

例えば、ミツバチがさくらの花蜜を吸った後に、移動して山藤があり、さらに移動してみかんやりんごの花蜜を吸うことになります。季節の変化によって、北へ移動していく養蜂家もいます。まじめな蜂蜜の養蜂家はミツバチの巣箱を携え、旅するミツバチとともに蜂蜜を生産しているのです。

 

養蜂家によるミツバチ受粉を行うと、農家にとっては人手をかけずに収穫が増えるので、WIN WINの強固な関係にあります。まじめな蜂蜜では農家が一切農薬を使用しない有機農法、自然農法であることを確認したうえで、日程を調整し、蜂箱を持って訪ねます。ミツバチは半径2km飛んで花蜜を集めるので、その中に農薬を使用する農家が無いことを確認しなければなりません。他の養蜂家が許可なくミツバチを飛ばすことが無いよう、訪問先の農家を公表していませんし、移動養蜂家の公表も行っていません。

蜂蜜の中に農薬が含まれないことの検査も自主的に行っています。

まじめな蜂蜜の厳格なポリシーについて、ご理解いただきますよう、よろしくお願いします。