国産・非加熱・オーガニック

国産蜂蜜が人気になってきた

本来の蜂蜜は、ミツバチの力だけで作り上げるものですが、市場に出回っている中には、人間が手を加えたものもたくさんあります。

蜂蜜の分類は下記のようになります。

純粋蜂蜜 一切の混ぜ物を加えない天然のもの。

加糖蜂蜜 水あめや異性化糖などが人為的に加えられたもの。

精製蜂蜜 加熱し減圧釜などにより蜂蜜を脱色・脱香・脱たんぱくなどの処理をしたもの。

※加糖蜂蜜や精製蜂蜜は、本物の蜂蜜とは味・風味も大きく異なります。

また、純粋蜂蜜といえども、ミツバチの羽ばたきによって水分を飛ばすのではなく、人工的に加熱処理を施して濃度を高めたものも含まれます。

加熱処理を施した蜂蜜は本来の蜂蜜とは色が異なり、焦げ臭いような香りがします。

私たちが「蜂蜜」と思って食用している中には、本来の作られ方とは異なるものが多いのが現状です。

中国産の蜂蜜は加糖蜂蜜、精製蜂蜜が多く、良くないイメージがありますが、アカシア蜂蜜の中には、広大なアカシアの森からミツバチが採取した、他の花の蜂蜜を含まない、純度の高い良質なものもあります。これは日本が指導してきたものです。

一方で、加糖蜂蜜など蜂蜜製造の手間を減らすやり方を日本が指導したり、日本国内の精製蜂蜜の需要に合わせて、中国での生産を拡大してきた経緯もあります。

今でも安価な中国蜂蜜を国産の蜂蜜に混ぜて製造し、国産蜂蜜として販売し、高利益を上げている業者もあり、嘆かわしい限りです。

最近では精製蜂蜜をハチミツと称して日本で販売できなくなってきたことから、精製蜂蜜の需要が激減しています。

海外では加熱はちみつと非加熱はちみつを明確に区別していて、非加熱はちみつだけを蜂蜜と呼ぶそうです。
海外の蜂蜜(非加熱はちみつ)を知る人が日本でも増えました。
最近、ニュージーランドのマヌカの花の蜂蜜がマヌカハニーとして、多くの方に知られるところとなりましたが、生産が追い付かないため、ニュージーランド産ではない偽物も多く出回っているようです。
またマヌカハニーの場合、非加熱・オーガニックとされていますが、日本と同様、非加熱の定義が明確ではないため、完全に非加熱とは言えないものも多いようです。
まじめな蜂蜜は国産の非加熱はちみつのメーカーですが、マルシェを通じて、お客様の意識の変化をひしひしと感じています。

しかし残念ながら、日本では非加熱はちみつも加熱はちみつも両方とも蜂蜜として販売されています。

​どうしてなのか、その理由を考えてみると、日本での蜂蜜の利用実態と関係がありそうです。

日本における蜂蜜の年間国内流通量は4~4.2万tですが、このうち半分はスポーツドリンクやドリンク剤及び医薬部外品に使われています。
蜂蜜は飲んでから20分でエネルギーに変わるというすぐれた特性があるからです。理由として正しいかどうかはわかりませんが、加熱はちみつレモンとかの名称で売りたくないですよね。
一方の用途は、テーブルハニーと呼ばれる家庭用です。
しかし、国内流通量の中で、国産蜂蜜の生産量は2600tと6%にすぎません。市販されているものの、大半が輸入物なのです。輸入物でパッケージごと輸入しているもの以外は、みんな加熱はちみつです。

さらに、国産で非加熱はちみつと称しているものであっても、実は低温(50℃から60℃)で加熱しているものが多いのが実態です。日本では非加熱という言葉の使用に決まりが無いため、個々の企業が自分の都合で解釈しているからです。

まずは、どういった工程で加熱が行われているのか、その実態をご説明しましょう。加熱が行われているのは3つの工程です。

花の開花時期は2週間。蜂は寝ずにはばたいて蜜を乾かして、酵素の混じった蜂蜜を熟成させ、3日ほどかけて糖度を上げていますが、中国のはちみつの生産方法では、水分が飛んでいない花蜜の状態で毎日しぼり、加熱して、有効成分を死活させ、水分を機械で乾かして作っています。
したがって、日本以外では蜂蜜とは表示ができず、加熱はちみつと表示されています。
中国の国内法でも加熱はちみつは熟成していないため、蜂蜜との表示は禁止されています。

蜂蜜の製造工程

1. 蜜蓋を切る
2. 遠心分離機にかける
3. フィルターにかけてゴミを取り除く
となっています。

1. 蜜蓋を切る
蜜蓋とは、完熟した蜂蜜(みつばちたちが水分を飛ばしきった状態の蜂蜜)にみつばちが自らの身体から出す蜜蝋でかぶせる蓋のことです。
蜜蓋があると、当然、蜂蜜は出てきません。画像にあるような道具やナイフを使って蜜蓋を外すことで、蜂蜜を取り出しやすくします。

2. 遠心分離機にかける
次に遠心分離機(遠心力により、蜂の巣から蜂蜜を取り除く機械)で巣から蜂蜜を搾っていきます。イメージ的には、回転させる野菜の水切りの道具の規模を大きくしたような感じです。

3. フィルターに通す
こうしてできた蜂蜜は、フィルターに通してゴミを取り除きます。
蜂蜜は遠心分離機の下から出てくるようになっており、そこでフィルターにかけられます。
採蜜した直後の蜂蜜は、蜂の足や巣の欠片などの不純物が混じっています。
その不純物を取り除くためにあるのが、フィルターにかける工程です。
お茶を入れるときに茶葉が入らないように「こす」ようなイメージですね。
この工程があって初めて、お店で売っているような透き通ったような蜂蜜になります。
こうして出来上がった蜂蜜は、一斗缶にいれて保存されます。(もしくは、直接瓶詰めされます)

加熱蜂蜜が多いのが現実

非加熱のどろどろした蜂蜜がフィルターを、ゆっくりと通ってゆくのを待つことをせず、蜂蜜を加熱して生産効率を上げることが多いのが実状です。
このように熱を加えて、蜂蜜を水のようにさらさらにしてからフィルターに通すことで、時間を短縮し、蜂蜜を採る回数を上げてゆきます。
当然、熱を加えてしまうと、効率が上がり量は取れるのですが、非加熱はちみつのように、本来の蜂蜜が持つ身体に良い成分を丸ごと残すことはできません。
風味も飛び、エグミも生まれてしまい、本物の蜂蜜ではなくなってしまうのです。
​国産蜂蜜で非加熱はちみつと称しているもの中にも、この加熱が行われているものがみられます。アメリカと違い、日本では加熱の定義が定まっていないことがその要因となっています。
生ハチミツとか純粋ハチミツといった表示がされているものが多くありますが、同様に必ずしも非加熱であるとはいえないのが実状です。
加熱した場合は、酵素が死活する為、サンプルを入手して、第三者機関で分析すれば、確実に違いが出ます。ジアスターゼ活性が50℃をこえるとはっきりと差が出ます。分析費用はかかりますが、第三者機関の証明は出せます。
まじめな蜂蜜は、冬場にアカシアを除き、ほとんどの蜂蜜はブドウ糖比率が高い為、18℃以下になったり、温度差が10℃を超えると必ず結晶する為、50℃以下の低温で2日近くもかけて、溶かしています。

海外産の非加熱の蜂蜜でも、300kgもの大きなドラムで運ばれてきて、時間の経過も長いため、日本で商品化される際の瓶詰めの工程で加熱されてしまうことがあります。
船で運ぶ際に、どうしても船内の温度差のために固まってしまうことが多いからです。
固まるのは、蜂蜜の主要成分であるブドウ糖、果糖のうちブドウ糖の作用によるものです。
ブドウ 糖の多い蜂蜜ほど結晶しやすくなりますが、結晶して成分が変化したわけではありません。
固まった蜂蜜は100℃くらいの温風庫の中に3日ほど入れて、どろどろに溶かしてから瓶詰めします。
当然、蜂蜜の中の酵素は死んでしまいます
味にはエグミが出て、せっかくの蜂蜜の風味は飛んでしまいます。

オーガニック※

※原則として日本では蜂蜜に有機という表現もオーガニックという表現も使用して販売することはできません。

ネオニコチノイドという農薬の使用で、蜜蜂がいなくなった話は有名です。
浸透性農薬のネオニコチノイドが15年くらい前に生まれるまでは、有機リン系の農薬が使用されていて、野菜や果物の葉や果実の表面に白い粉がついたような状態になっていました。
ネオニコチノイドでは、白い粉がつかないのです。
また、残留性が長いので、効果が長続きするという特徴もありました。
アメリカでは、モンサント、日本では住友化学をはじめとする数社の製造によるもので、ネオニコチノイドは日本でも大量に販売されました。
最初は、人間には健康に害はないとの触れ込みでしたが、最近は、世界の多くの科学者が健康障害に警鐘を流し始めています。
北海道ではその影響で、田んぼにユスリカやミミズがいなくなりました。
そして、トンボやメダカ、ゲンゴロウ、更に多くの生物が消えています。
土壌に残留が進むにつれ、生物多様性も失われていったのです。
ネオニコチノイドはヨーロッパでは使用禁止で、アメリカでも使用はごくわずかです。
ヨーロッパで禁止されたのは養蜂組合が裁判所に訴えたからです。
スクープされて、大きな話題になりました。
いったん使用を差し止めて、5年経って状況が変わるかどうか試してみよう。状況が変わらなければ、はじめて原因ではないといえる、そういった判断が裁判所によって下されました。
その結果、ネオニコチノイドの使用が禁止になったのです。
ネオニコチノイドを一番使っているのが中国、次に韓国、日本が3番目です。
日本では農作物の輸出が叫ばれていますが、農薬の使用が大きな妨げになっています。
人間の場合、200年かかって遺伝による障害が出てきますが、蜂は成虫になって50日しか生きませんから、人間の200年を短期間に繰り返してきたわけです。
蜂が消えた現実から人間は学ぶ必要があります。
子どもの4人に1人が発達障がいと言われている日本の現状も、農薬の影響で無いとはあながち言い切れないのではないでしょうか。
海外ではオーガニックを相互認証していますが、日本は農水省の独自基準である有機JASを適用しています。日本では海外と異なり、蜂蜜は有機JASの格付けの対象外となっています。

蜂は4キロメートル程(最大8キロメートル)飛んで、花の蜜を集めてくることから、厳密に農薬不使用の蜂蜜ですということは難しいのですが、
まじめな蜂蜜では、日本養蜂協会の基準を第三者機関で検査を行い、分析基準をクリアしない蜂蜜は排除しています。りんご、みかんは必ず分析を行い、れんげや蕎麦などは、数年前にマヌカハニーで大問題になった除草剤のグリホサートの分析をしています。そのことによりオーガニックと呼んでも差し支えないレベルの品質を維持しています。それはおいしい蜂蜜を提供する者としての責任であると考えます。